1983 示村
最適レギュレータ問題と極配置
示村、川崎
計測と制御、22-3, 1983
線形フィードバック制御系の設計手段として その活用が大いに期待されるのであるが、望まれる特性を実現するには評価関数の中の重み係数をどのように選んだらよいかについて、直接的な指針が明確でないという難点がある。
この点に関して、LQ問題の解を用いて構成された閉ループ系の極と、評価関数中の重み係数との関係を解明する方向でいろいろな研究がなされてきた、
まず、 操作量に関する項の重み係数をゼロに近づけたときの閉ループ系の極の漸近的な振舞い、すなわちいわゆる根軌跡を設計に応用しようという試みがある。
Kalmanが1入力系について検討し、Steinらは、極と固有ベクトルも同時に指定する方法を提案している。
武田、北森らは、極の漸近的性質を考慮する一方、閉ループ系の安定度や応答特性がある仕様を満足するように重み係数を決定する方法を提案している。
また、重み係数の微小な変化に伴い、極の位置がどのように変化するかという、係数に対する極の感度を調べ、これも用いて 希望する極配置を実現する重み係数を決定しようとする試みも検討されている。
重み係数と極の間の直接的な関係に関しては、早勢によって1入力系の場合について研究され、その後もいくつかの類似の結果が報告されている。
多入力系の場合には。 これに対応するような具体的な関係は一般的な形では 得られていないが、特定の極のみに注目して導かれた極と重み係数の関係を利用した設計法、あるいは、モードごとに重み係数との関係を用いて、順次 決定していく方法などが提案されている。
このように、何らかの形で閉ループ系の極に関連して重み係数を決定し、LQ問題の解をフィードバック制御系設計に積極的に利用する手法が提案されている。